
大島病院は昭和42年11月に開院し、平成22年に現在の場所に新築移転いたしました。ほぼすべての病室から穏やかな瀬戸内海の美しい景色を眺めることができます。私は平成17年から20年にわたり病院長を拝命してまいりました。初代の病院長から継続して山口大学の外科医局より派遣されており、膨大な手術症例数を誇っていました。私自身も大島病院へ派遣された30年前には一例でも多くの患者さんに手術をして差し上げたいと考えておりましたが、病院を取り巻く状況はその後大きく変わってきました。
病院長を拝命してからは、医師不足・看護師不足のあおりを受けて一時的に病床を減らして対応することを余儀なくされました。新しい病院の建築も紆余曲折ありましたが、多くの方々のご努力とご協力により開院することができました。新病院では電子カルテをはじめ信頼のできる医療機器を備えて安心・安全な医療を提供することはもちろん、予防医療や介護・福祉などとの連携を重視して地域連携室を創設し、同じ建物内へ訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所を誘致して、毎月定期的に役場の保健師や近隣の介護施設などと会議を行って顔の見える関係を作ってまいりました。
令和になり、ようやく病院の運営が軌道に乗ってきたところで新型コロナウイルス感染症の蔓延が起こり、経営にも大きな痛手を受けました。また、昨今の物価上昇や過疎化・高齢化、人口減少など病院を取り巻く環境はどんどん厳しくなってきています。当院ではこの地区に暮らす方々が最期まで安心して暮らしていけるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を構築する中心的な役割を果たしていきたいと考えています。
また、医師・看護師をはじめ、医療従事者の人材不足が顕著となり、新しい世代の医療従事者を育成することが喫緊の課題となっています。当院におきましても将来を担う医療従事者の教育にしっかり注力してまいりたいと考えています。様々な職種の学生さんや研修生などを幅広く受け入れてまいりますので、ご理解・ご協力を賜りたいと存じます。
今後は人口のさらなる減少に伴い、病院の規模や機能を見直していかなければなりません。しかし大島で暮らす人たちが安心してここでの生活を続けることができるよう、この地区で地域医療を提供する最後の砦として必要な病院機能をこれからもずっと維持していく覚悟です。皆様方のご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和8年1月